手染めにこだわる

印染め(しるしぞめ)

“印染め“という言葉を辞書で探しても、残念ながら見当たりません。
印(しるし)という言葉を調べると「他と紛れないための心覚えや、他人に合図するために、形や色などで表したもの。目じるし。」
「所属・家柄などを表すもの。記章・旗・紋所など。」とあります。


さらに旗印(はたじるし)という言葉を調べると「戦場で目印として旗につける紋所や文字。」とあります。
大河ドラマでよく見る旗や幟に描かれている家紋や文字のことです。
武士が自分や自分の隊の目印のためにつくった旗や幟は、言うまでもなく “誂え”ということになります。


旗や幟・のれんやはっぴ等、文字や図案・屋号や家紋などの“しるし”をひとつひとつ染め上げた(染め抜いた)誂え物。それが“印染め”です。


弊店は印染の店です。どこでも誰でも手軽に使用できる大量生産品の“出来合い”ではなく、お客様お一人お一人のご要望を反映した “誂え”(オーダーメイド)の品物を、ひとつひとつ手作業で染めています。

以前は機械で大量に生産された安価な“出来合い”製品が多く出回っていましたが、最近では印刷機械の大型化・高性能化により、短時間でよりカラフルなオーダーメイド品が簡単にできるようになりました。


弊店では、昔ながらの手作業にこだわり、代々受け継がれているからこそできる職人の技術を生かした染物をつくり続けています。


糊置き(のりおき)

防染糊(ぼうせんのり)

読んで字の如く“染まることを防ぐ糊”です。
防染糊にはデンプン糊やゴム糊等がありますが当店ではデンプン糊を使用しています。
糯米を粉にしたもち粉と塩と少量の石灰を混ぜて練ってペースト状にした“ねば糊”と糠をあわせて作ります。
以前から染色資材店で“ねば糊”は販売されていますが、当店は“ねば糊”も季節や天候に合わせて作っています。


筒描き(つつがき)

糊置き(のりおき)

布面の染めたくないところに防染糊を付けることを“糊置き“といいます。
ロウケツ染めで言うと、溶かしたロウを布に塗っていることと同じような作業です。

糊置きの方法は「筒描き」と「型置き」があります。


筒描き(つつがき)

円錐形の筒の先端に口金を付け、その中にもち米と糠を練った“防染糊”を入れ、筒の先から坊染糊を手で搾り出しながら筒を動かして布面に糊を置く技法です。
筒を動かし、糊で模様を描くように見えることから、“筒描き”という名称があります。
筒描きは、ケーキのデコレーションやチョコレートのパイピングを想像していただくと、わかり易いかもしれません。